第6回 バルコニー手摺り壁の施工(前編)
換気棟のハウゼコ
< 新建ハウジング掲載特集記事 6 >
雨仕舞いと通気は木造住宅を長持ちさせる基本であり、トラブルも多い。
雨を躯体内に浸入させないためには隙間や孔はないほうが良い。
一方、通気を確保するためには隙間や孔が必要になる。
第1回でバルコニー手摺り壁の改修事例を紹介したが、今回は新築で雨仕舞いと通気を両立させるための手法を紹介する。
取材・構成:大菅 力 協力:ハウゼコ
バルコニーは漏水や結露の事故の多い部位だ。特に問題となるのが、手摺り壁の雨仕舞いと通気の両方だ。
手摺り壁天端に取り付ける笠木により、通気層を塞ぐかたちになるので、通気が不完全になりやすい。
さらに通気層の効果を阻害するのが、笠木と外壁の取り合いにシーリングを打って通気層を塞いでしまうこと。
通気層による漏水のリスクを抑えることを期待してのことだが、同時に通気層による水蒸気の排出効果もなくなるため、壁体内結露のリスクが高まる。
実際、この部位には結露を原因とする事故事例が増えている。
笠木下部で通気を確保
漏水リスクを減らしつつ、結露を防ぐには、笠木周りの防水を確実に行いながら、手摺り壁の壁体内で通気を完結させることが基本になる。
そのためには笠木の下部に多孔質の樹脂製パーツをガルバリウム鋼板で包んだ「笠木下換気部材」を設置するのが1つの方法だ。
多孔質の樹脂製パーツで通気を保ちながら、ガルバリウム鋼板が水切りとして機能し、浸水を防ぐ。
加えて手摺り壁の上部に「腰壁換気部材」を併用する。
この部材により、手摺り壁内部の水蒸気を通気層に誘導することが出来る。
排出された水蒸気は笠木下換気部材より排出される。
今回と次回の2回にわたって、これらの部材を用いて、漏水と結露を防ぐバルコニー手摺り壁の施工方法についてお伝えする。
施工のポイント①
腰壁換気部材の施工
● あらかじめ手摺り壁上部の透湿防水シートを巻き上げておく
● 腰壁換気部材設置後に両面テープを施工し、透湿防水シート下ろしてスリット部分以外は透湿防水シートで覆うようにする
施工のポイント②
笠木下換気部材の施工
● 笠木下換気部材の設置高さは手摺り壁天端に合わせる
● 出隅や入隅は専用の接合金物を用いて切れ目がないようにする