社長コラム
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西日本サイディングニュース7月号掲載

社長コラム

1週間で首都キエフは陥落すると思われていた戦争が始まって既に5か月。 天然ガスと原油の多くをロシアに頼っているヨーロッパは、大きな痛手を被った。 特に、原油と天然ガスの約半分をロシアに頼っていた地理的にロシアに近いドイツへの影響は大きい。

ロシアとドイツをつなぐパイプライン 〝ノルドストリーム1〞 が先日定期補修の為止まった。 定期補修の名目でパイプラインを止める場合の多くは、政治的な目的が他にある。 とドイツは声明を出した。 定期補修以降も供給量を絞られる公算が高く、 今冬は、 ドイツにとって試練の冬となりそうだ。 供給量が不足する事態を想定し、生活用と企業用のどちらを削減するか?という議論になり、企業用を削減方針だという。 そうすると、 EUの牽引車であるドイツ経済が滅茶苦茶になり、 EU全体も大変なことになる可能性がある。現在行き場の失ったロシアのオイルやガスは、中国・インドに主に流れ、世界最大の産油国のサウジアラビアにも流れている。 サウジは、 自国のオイルを輸出に回して、 ロシアからの安いオイルを自国消費分に充てている。 魑魅魍魎とした世界だ。

今回のウクライナ危機が起こったタイミングは、ノルドストリーム2が開通する絶妙なタイミングで起こった。 今回のウクライナ侵攻のきっかけは、ゼレンスキーが親ロ派地域へドローン攻撃をしたことが発端となっている。 ゼレンスキーが短期間でウクライナの権力を握れたのは、アメリカ資本がバックについたからだという噂がある。 今回のウクライナ問題で一番得をしたのは、間違いなくアメリカだからだ。

脱炭素の影響で減少していたアメリカのシェールガス、シェールオイルやLNGの生産量が、 ウクライナ危機以降飛躍的に増大し、 軍需産業の株価も絶好調。 NATOの旧東側諸国の軍備が旧ソ連製の為一体化できなかったのだが、今回その旧式の東側の武器をすべてウクライナに供与したことによって、NATOは西側の兵器に統一できたことも大きな成果だ。

ウクライナは、 かつて第三位の核保有国だったが、 世界から安全保障する言質との引き換えに核を放棄した。 今回、核放棄していなかったらロシアから攻め込まれることはなかっただろうと言われている。 軍事費引き上げを宣言している日本の今後取るべき道をこのウクライナ侵攻から学ばなければいけないと思う。