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ハウゼコ社長 神戸睦史の連載『産業春秋』が産業新聞に掲載されました。

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産業春秋
住宅外皮の通換気を究める

 ここ数年の、日本の住宅の技術革新には、特筆すべき3つのものがある。
 まず一つ目に、かつて日本の住宅は価格が高いと言われてきたが、現在の日本のローコスト住宅のコストパフォーマンスは驚異的だ。
 アメリカのような広い国土をもつ国では、大ロット搬入や大型重機の作業もOKのような場合が多く、それらと比較するのはナンセンスであるが、それでもそのコスト差は縮まってきた。。それを可能にした大きな要因は、プレカット技術の高度化だ。
 いまや、誰もがハウスメーカーに一夜にしてなれる時代になっている。プレカット工場の技術が、日本の住宅コストの低減に大きな貢献をしているのだ。
 二つ目に、パッシブハウスといわれる高気密高断熱住宅の世界で、日本の住宅が世界のトップクラスになりつつあるということだ。
 中国や韓国よりも低かった日本の窓の性能が、ヨーロッパ基準にならぶ高性能窓が国内メーカー各社から上市されたことにより、一気に上がった。
 もともと日本には、北方型住宅といわれる北海道で培われた高気密高断熱の技術があった。それに、欧米で確立されたパッシブハウスの技術を融合させて、独自の日本型パッシブハウスが確立されようとしている。
 東日本大震災以来、一次消費エネルギーを削減することが、資源のない国日本の最優先事項となった。そのことが、日本の住宅の省エネ化の大きな推進力になっている。
 そして、三つ目の技術革新が、住宅の外皮の通気技術の進歩だ。
 住宅の外皮とは、主に外壁や屋根に加えて、天井・床・窓等の外気との熱的な境界のことを指す場合と、外壁・屋根等の雨仕舞いをする部位を指す場合の2つがある。
 今回の話は、後者の話だ。今まで、外皮の熱的な話は面材までで計算してきたのだが、今後はそれに加えて外装材や外装材の裏側にある通気層を通る気流のことを無視しては通れないだろう。
 当社は、昨年一般社団法人住まいの屋根換気壁通気研究会を立ち上げた。外皮の通気・換気・雨仕舞いを研究する日本で唯一の団体だ。
 国の研究機関・大学・設計士・工務店・ハウスメーカー・各分野の研究熱心なメーカー等が約80社集まり、毎月勉強会を開き、会員同士で切磋琢磨している。
 この外皮の通気・換気のロジックを完成させることが私の夢だ。
 世の中では、100年住宅200年住宅といわれているが、実は、高気密高断熱住宅が普及することにより、皮肉にも2-3年で腐ってしまう住宅が増えている。そういったことが起こらないようなシステムを、この研究会で作り上げたいと思っている。