西日本サイディングニュース7月号掲載
オワコンと呼ばれているテレビ番組。 そのなかで、NHK は結構面白い番組が多く、頑張っているなあと感じる。 歴史探偵やファミリーヒストリー、NHK スペシャル、 大河、 大追跡グローバルヒストリー、 バタフライエフェクト、 プロジェクトX…。
先日は、プロジェクトX で、スバルの自動運転システム アイサイト の開発秘話を取り上げていた。 アイサイトは、プロジェクトチームがスタートしたタイミングでスバルの業績が悪化し、 会社始まって以来の大リストラの渦中に巻き込まれた。
プロジェクトは予算も人員もスズメの涙位に絞られ風前の灯の状態になる。 会社には予算がないので、 国の補助金プロジェクトに一縷の望みを託し、 企画書を何回も書き直し、 なんとか通すことができた。 当初は、 カメラで歩行者等を監視し運転者に注意喚起するシステムを目指していたのだが、そのようなシステムは、 どこの自動車会社も手掛けており、 補助金の対象にはなりえなかった。 そこで、 補助金をもらうために、 歩行者を認識して自動で止まるシステムに変更して補助金を得た。 良い企画に補助金を出したのではなく、補助金を得るために目標を上方修正したのだ。
期間は1年。 その間に開発できなければ、すべて終わりだ。 背水の陣で臨んだこのプロジェクト。 最大の問題は、 ガラス面に付着した雨滴だ。 特に夜の雨の日は、 いくらセンサーの感度を上げても、 逆に雨滴にセンサーが反応してしまい、 前方の車の正確な認識ができなくなる。 そこで、逆にカメラの感度を下げて車のテールランプだけ認識するように変えたところうまくいった。まさに逆転の発想だ。
開発とは、最初から正しい道を歩んでいるケースは意外に少ない。 思わぬ発想の転換が成功へ導くケースが多くあるように思う。 結局一番大事なのは、 成功するまであきらめない強い気持ちなのかもしれない。