西日本サイディングニュース3月号掲載
渋沢栄一の大河ドラマ、 『青天を衝け』 が終わって3ヶ月、 渋沢ロスが少し癒えてきた。 『青天を衝け』 は大河ドラマ史上、私の中で間違いなくNo .1 だと思う。 渋沢栄一は、 明治維新直前に徳川慶喜の弟の昭武の留学に随行し渡仏するのだが、 金が無く随行員の一部を帰らせるほど滞在費に困窮していた。 当時の日本がいかに貧しい国であったかがよく分かるエピソードだ。
一方新政府側は、 維新前後に長州や薩摩がイギリス側の支援で留学している。 その留学費用は、グラバー (新政府側に大量の最新兵器アームストロング砲等を供給した武器等の商人) の仲介で、イギリスのユダヤ系財閥のロスチャイルド系列のマセソン商会 (アヘン戦争で巨額の利益を上げた)がスポンサーになった。 結局朝鮮戦争やベトナム戦争等と同じく、 イギリス対フランスの代理戦争の図式だ。 当時、アジアは、 ほとんどが西欧諸国の植民地になっており、 アジアの超大国の清までもがアヘン戦争で植民地化された事は、 当時の日本に大きな衝撃を与えた。 日本は倒幕に向けて内戦が起こり、 十中八九その後はイギリスとフランスの分割統治による植民地になる運命だった。 その状況をかいくぐった日本は、 凄いと言うしかない。
最近、 『創業者は渋沢栄一です。 』 と宣伝する上場企業が多い。 渋沢は、約500社の企業の設立にかかわっており、 現在の日本の有力企業の多くにゆかりがある。 そういった意味では、 維新三傑よりも功績があると思う。 そんな彼も現在の閉塞した空気感の日本を見て、 きっと天国から喝を入れているに違いない。