ハウゼコ社長 神戸睦史の連載『産業春秋』が日刊産業新聞に掲載されました。
日経産業新聞 2015年6月22日掲載
産業春秋
住まいの屋根換気壁通気研究会理事長
株式会社ハウゼコ社長
神戸 睦史 氏
現在、日本の住宅の80%が木造住宅になっている。
近年日本の木造住宅の技術革新には目覚ましいものがあり、
アメリカの住宅がツーバイフォー住宅でほぼ標準化されているのはご承知の通りだが、
日本は在来木造住宅で標準化されそうな状況だ。
在来木造住宅と言ってもほとんどの住宅に構造用面材が貼られている為、
ツーバイフォーやパネル工法とよく似た作りになっている。
着工数の多いアメリカと日本でよく似た造りだということは、
世界的にみてよく似た構造の住宅が増えているということだ。
キダタローが作曲した事で有名な某鉄骨系ハウスメーカーも、
既に約半分の住宅は木造になっている。
2020年に断熱義務化が予定されているが、
その比率は急ピッチで上がっていくことだろう。
構造と同じように、断熱・気密でも標準化されてきている。
昨年、日本で窓革命が起こった事をご存知の方は、
業界関係者以外では少ないと思う。
窓の断熱性が、欧米が先進地域で、
その次に中国・韓国で、
日本がその後だったのだが、一気に欧米基準の窓が出てきた。
今まではアルミサッシが多かったが、現在では樹脂窓がシェアを伸ばしている。
その為、アルミ型材の市況に大きなインパクトを与える可能性も指摘されている。
住宅業界では大きな変革がこの数年で起こっているのだが、
鉄の業界も無関係ではいられない。
住宅業界の一連の動きについては、
東日本大震災が大きなターニングポイントになっている。
それまでは、住宅を考えるときには、
より良い住まいを建てる事だけを考えていれば良かったが、
現在では、エネルギー情勢・経済情勢・国際情勢等を抜きにして考える事は出来ない。
ゼロエネ住宅・パッシブハウス・オフグリッド・低炭素住宅・・・
聞こえの良いキーワードが並ぶが、
中身を見てみると意外にまやかしになっているものも多くある。
また、エネルギー効率のことばかりに目を奪われて、
肝心要の耐久性がおろそかになっている住宅も、
皮肉なことに増加している。
外壁から侵入雨水が従来の建て方であればどこからか抜けたのだが、
現在の住宅はサランラップを巻いたような住宅になっているため、
侵入雨水が滞留し構造部材を腐朽させる要因になるケースも増えている。
そこが、皮肉なことであるが、
当社のビジネスチャンスの拡大に繋がっている。