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[通気×雨仕舞い] いまさら再入門

第2回 軒ゼロ屋根の防水と通気

換気棟のハウゼコ < 新建ハウジング掲載特集記事 2 >

軒ゼロ屋根の防水と通気 雨仕舞いと通気は木造住宅を長持ちさせる基本である。
それでいながら、トラブルが多い箇所でもある。
それは、両者がトレードオフの関係にあるためだ。
雨を躯体内に浸入させないためには隙間や孔はないほうがよい。
一方、通気を確保するためには隙間や孔が必要になる。
もちろん、実際の木造住宅には両者が必要となるので、トレードオフの関係をいかに解消していくかというのが、設計・施工の妙味となる。
この連載では、そうした雨仕舞いと通気がせめぎ合う部位の工法や納まりの工夫についてお伝えしていく。
第2回は「軒ゼロ」屋根における防水と通気についてお伝えする。
取材・構成:大菅 力 協力:ハウゼコ
昨今、軒やけらばの出が極端に少ない「軒ゼロ屋根」が増えている。
そうした「軒ゼロ屋根」のなかでも、特に片流れ屋根の雨漏りや結露事例が増えているようだ。
「軒ゼロ屋根」は、軒やけらばの出を確保し、建物に雨水が掛からないようにするという雨仕舞いの考え方とは正反対の設計なので、防水などの対策を取らないと事故が起きるのは必然だ。
注意が必要な箇所はいくつかある。
まずは屋根と壁の取り合い部。降雨時に風が強いと、壁に当たった雨は吹き上がり、屋根と壁の取り合い部から浸水する。
こうした事態に備え、外壁の透湿防水シートを取り合い部まで伸ばして屋根の下葺き材と連続させるなど、外壁のなかに雨水が浸入しても建物の外部へ排水できるような納まりが望ましい。
しかし、現状では、屋根と壁の隙間をシーリングで埋める納まりが採用されやすく、シーリングの施工次第では、その部分から浸水してしまう。
同様に片流れ屋根の棟端部も浸水が多い箇所だ。
この部分も屋根の下葺き材と壁の透湿防水シート間に、防水層がない空白の部分を生じさせているケースが目立つ。
こうした場合、棟頂部の野地板の裏面に雨水が回り込むと、室内に浸水することになる。
通気不良による結露事例

通気不良による結露事例が増加

昨今、防水以上に注意が必要になっているのが結露だ。
よくあるケースがけらばと外壁の取り合いとなる外壁通気層の最上部をシーリングで塞ぐケースだ。
けらばの出があれば、外壁通気層の最上部に排気口を設けたり、外壁通気層を小屋裏に流入させて排気通路を確保することも可能だが、「軒ゼロ」の納まりでは難しい。
外壁通気層の排気ができなくなれば、当然、壁内結露のリスクも高くなる。
「軒ゼロ」の建物では、屋根断熱の結露事例も目立つ。
その多くは通気経路に不備があると言われる。
納まり上の問題などから、軒先からの吸気や棟換気について配慮がなされていないの主な原因だ。
屋根断熱においては、通気層が十分に機能しないと野地板が湿潤状態となって腐食し、場合によっては小屋組にまで悪影響を及ぼす。
通気層については念入りに考える必要がある。

施工のポイント①

けらばと棟の納まり

けらばの端部に防水性の高いパッキンを用いて、外壁通気層の排気口を確保する
パッキンを設置する妻側の垂木の高さを12cm下げておく
棟部の屋根を切り欠いて排気口を設け、換気部材を設置。建物規模に応じた開口面積を確保
防水けらばパッキン 防水けらばパッキン設置方法 野地板の施工手順 片流れ換気棟の納まり

施工のポイント②

軒先の納まり

軒先に水切りと一体化した換気部材を設け、雨水を切りつつ吸気を確保する
吸気部材は建物規模に応じた十分な開口面積を確保する(天井面積の1/900を設計基準として設置本数を決定)
棟部の屋根面を切り欠いて排気口を儲け、防水性の高い換気部材を設置する
広小舞上換気部材の納まり 野地板と広小舞の様子 水きりの施工方法