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『結露しにくい木造住宅の造り方』の記事がけんざい250号に掲載されました。 | 換気棟は株式会社hauseco(ハウゼコ)



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20151028記事 けんざい250号

けんざい250号掲載



「結露しにくい木造住宅の造り方」
株式会社ハウゼコ
代表取締役社長
神戸睦史氏

■実棟実験や高性能の実験機械で徹底的に試験
 当社は換気部材のメーカーで、私自身は、「(一社)住まいの屋根換気壁通気研究会の理事長を仰せつかっております。本研究会が開催するセミナーには、ゼネコンの方や木造住宅に関心のなかった方も多数お越しいただいています。今、CLT(板の層を各層で互いに直交するように積層接着した厚型パネル)などを使っていこうという流れがあり、そういう部分もしっかり押さえておく必要があるということで、さまざまな立場の方々が参加くださっているようです。
 木造住宅を建てるときに最も大事なのは雨仕舞と換気と通気です。この研究会を立ち上げたのも、その部分に関する知見を蓄積し、広く周知していくためです。2014年11月、本研究会は国立研究開発法人建築研究所理事長、外皮の分野でトップの大学教授、設計事務所の先生、建築学の大学教授、パッシブ住宅の第一人者といった方々を中心に立ち上げ、セミナーを継続的に開催しています。
 当社では「ハウゼコ住まいの換気研究所」を儲け、研究・実験を行っています。実棟実験では140ヶ所に温湿度センサーを入れて定点観測しています。小屋裏換気性状、気密測定、鉛筆硬度試験、通気性能試験、腐朽菌採取の試験などで、毎年実験値を出しているのですが、今年はバルコニー差圧測定、つまり通気層と透湿シートの裏と外壁の表に圧力計を入れ、自然風でどれぐらい差圧が出るかという実験をしています(図1)。
 通気工法は元々結露や漏水を防止するためにつくられたものですが、圧力の面からも妥当な工法であることがわかりました。今年9月の建築学会で「バルコニーまわり外壁通気層内の雨水流れと漏水リスクの論文を発表する予定です。
JISで規定されていないため、漏水試験をせずに上市しているメーカーもありますが、当社では100%圧力箱方式と送風散水試験の漏水試験をやっています。当社には送風散水試験がありますが、こういった実験機会を持っているところは非常に少ないようです。

■モルタル劣化は直張りと通風・日射不足が原因
 こちらは腐食促進試験です。最近多いのがモルタルの劣化事例。モルタル外壁は今、ハウスメーカを除くと約50%が直張りといわれており、水を媒介として1年くらいで腐食するケースが増えています。サイディングの施工は透湿シート、胴縁、水切、サイディングを1職種で施工します。モルタルの場合は、3職種くらいにわかれるので、2職種が理解していても1職種が理解していなければ、結局は不適切施工になってしまうというケースもあります。
 あるハウスメーカーの物件で、通気不良のため、当社の水切りが錆びたケースがありました。南側は通風も日射もよくとれていたので、錆びていませんでした。つまり通風と日射がある程度とれていれば問題ないということです。15年くらい前に木サイディングがはやったとき防腐剤に含まれている銅が電食を起して水切が腐食することがありました。通風も日射もとりにくいところだけがよく錆びるということが多かったようです。
 初期の含水率が高い状況のところで腐食の事例があがってきています。なぜこの様になるのか。防腐剤メーカーからは工務店が計画発注しないからだという理由を聞きました。きちっと納期を守ってくれれば大丈夫ですが、なかなかそういうわけにもいかず、結局乾かす時間がなくなるというのです。

■笠木の部分から住宅が劣化しやすい
 セミナーで、ある工務店から相談を受けた案件ですが、建てて1年目で、胴縁のところに何度も筋やシミが出るということです。前日と当日晴れた日に朝の6時から8時まで、筋が入る。結局、放射冷却現象によるものではと結論づけています。この住宅は劣化が起こりやすい部位が非常に多いのですが、まず一つは直張りということ。二つめはジョイント部分からの漏水、結露。三つ目が笠木です。大体2間くらいまではサッシメーカーによる、レディーメードでよく考えられた笠木で施工されるのですが、それを越えると板金笠木になる場合が多くなります。ここの納まりが非常に難しいのです。アルミ笠木は標準施工があるのですが、板金笠木にはないので、バラつきが大きくなる。直張りモルタルの場合、本来なら捨て板金を入れてから、モルタルを施工し、笠木で覆ったほうがよいのですが、多数の物件を扱っている工務店では、モルタルやサイディングなどいろいろ混じると管理しきれない場合もあります。
 そのようなときにシール頼みで、脳天釘打ちをすると、ここから雨水侵入するケースがあります。侵入した雨水は、直張りのため排出されないので屋内にとどまって凍ります。すると凍結融解を月5回、4ヶ月として、年間20回。瑕疵担保保証の10年では200回となります。この様な住宅が増えています。
 10年前くらいから、従来工務店から設計事務所に図面を外注するという受注形態だったのが、設計事務所が一次請けし、二次請けで工務店が入札するという形が多くなっています。設計士は意匠系の方が多いので、面材の内側は非常に緻密に計算されますが、面材の外側は無関心な場合は多くて工務店へ丸投げしてしまう、不具合の原因はこのような背景があります。

■大阪でも地域によって湿度が全然違う
 2000年前、大阪城のある谷町以外は海でした。私は、昔東大阪市の水走(みずはい)で一人暮らしをしており、今は和泉に住んでいますが、どちらとも比較的湿気の多いところです。海から湿気が入ってきて、山の手前で落ち、下からも上がってくるので環境としてはあまりよくない。だから湿気も積雪と同じように50、100、150というような形で地域区分するべきだと思います。
 昔、夜8時くらいから舞洲でよくテニスをしていましたが、夜7時頃に和泉を出るときは雨が降っているので「今日はないね?」と電話をすると、「いや晴れているよ」ということがよくありました。
 気を付けなければいけないのは、山の手前です。先ほどの事例の物件はちょうどその辺りです。下と上の両方から結露リスクがある場合と、上からだけの場合があります。

■換気は場所によって変える必要がある
 ある大学の先生がシュミレーションされていたのですが、1600分の1や250分の1など吸排気方法の違いによって小屋裏の換気面積が決められているものの、あの基準が決められた経緯はよく分からない、ということをご存知でしたか?きちんと実験して確かめられたものではないのです。シュミレーションでは、北陸辺りではその3倍以上ないと足りないというデータが出ています。日本海側に比べ福岡は条件がいいようです。
 このように法規制を守っていればいいというわけではありません。場所によって換気量は変わってくる。当社には業界唯一のモルタル用通気水切りがあります。オーバーハング用通気部材では、モルタル壁の場合オーバーハングの部分を塗り込んでいるケースを多くみかけます。前から見えないので、この通気部材を使えれば意匠的にも良い上に通気もとれる。このようなモルタル用の部材もいろいろ出しています。

■「アンタレスミニ」と笠木の漏水実験
 関東の木造2階建てのサイディング胴縁の物件ですが、施主から雨漏りではないか、と相談がありました。バルコニー飾り開口部とサイディングが白く変色していました。笠木天端に穴を開けると熱気と異臭があったとのこと。おおよそ住宅の7割くらいで手摺り壁の笠木のところは通気が考えられていませんでした。温かい空気は下に降りないこと、わずかの寸法のすき間で通気しようとすることがそもそもの問題です。しかし問題が起こっても、第三者機関では結露なのか漏水なのか、原因を究明していない実態がありました。3階建てのバルコニーになると2.5層分の熱気が上がり、下に降りずに上部に滞留します。開放型の納まりになると通気はすごくいいのですが、雨水が浸入してサッシ上のサッシフィンと防水シートとテープの取り合いから漏水する可能性があります。
 笠木の外壁との間は10mmと規定される場合が多いのですが、10mmにすることが至難の業です。サイディングも胴縁も合板も誤差があるからです。特にサイディングは最近非常に凹凸が激しい。凸のところならいいのですが、凹にあたるすき間が大きくなる。また、最近のサイディングは、フッ素塗装品も増えており、シールもつきにくくなります。だから10年間もつかは非常に疑問です。こういった疑問から、笠木の模擬バルコニーをつくって、送風散水試験をするようになりました。
 以前6種類の納まりで送風散水実験をしました。1.住宅支援機構の納まりで、横胴縁に通気胴縁を使用。2.日本窯業外装材協会(NYG)の納まり。3.ハウスメーカーの納まりですが、開放型。4.木片を入れた開放型。5.開放型で窯業サイディングを裏貼りしたパターン。6.アンタレスミニという当社の換気部材を使った納まり。アンタレスミニの試験体は漏水量がわずか3ccで、ほとんど入りませんでしたが、ほかの試験体には漏水量が多いものもありました。
 アンタレスミニを使った納まりは、第3者機関をはじめいろいろなところへ提案して非常に高い評価を受けています。業界で唯一、横からの釘留めなので腰壁天端の鞍掛けシートを傷つけない。最もデリケートな天端を傷つけないというのは大きなポイントになっています。また特許を取っているので当社にしかできません。そして手摺壁天端に、サイディングや木など、余計なものが入らず、とてもきれいな天端にすることができます。業界ナンバーワンの換気量99c㎡/ml、防水性能試験合格、軽い、特注対応加納といった数々の特徴があります。今ハウスメーカーなどで標準採用が決まっています。
 最近多いキューブ型住宅向けには「アンタレスベント」が最適です。パラペットの立ち上げと手摺り壁などにたまった湿気を安全に出します。「ベテルギウスT」は立平の屋根下にたまりやすい熱気を抜きます。また「インコーナーベンチレションハット」は、材料半分・手間半分で通気もできる、一石三鳥の商品。この4商品をまとめて「ハウゼコセット」として提案しています(図2)(図3)。