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100の失敗に学ぶ 結露完全解決

日経BP社より発行の「100の失敗に学ぶ 結露完全解決」。ハウゼコが検証した結露トラブルなどが掲載。

日経BP社より発行の「100の失敗に学ぶ 結露完全解決」。実際にハウゼコが検証した結露トラブルや長期実施データについて掲載されました。高気密高断熱化した木造住宅において、換気・通気ミスは住宅の耐久性の低下や住む人の健康被害など大きな問題に繋がります。こちらでは掲載記事のポイントについてご紹介します。

東面の壁だけから茶色の水染みが・・・

築数年の木造住宅にて、東側の外壁の水切から茶色の水染みが・・・。外見からは全く原因が分からない。しかも南側には同じ症状は見つからない。そこでサイディングを外し通気層を確認すると、なんと内部は多湿状態で木部は湿り結露水が発生していたのだ。それにより木材成分や金属のサビなどから茶色い染みが現れたのだ。

●外壁を取外した右側が東面


点検の結果、写真の通り胴縁や土台材の含水率は60~80%とかなり高い数値を示した。おそらくそのまま放置していれば、腐朽に繋がっていただろう。

●木部の含水率

●土台の含水率



躯体を透湿防水シートで覆い、外壁材の間に胴縁を挟み通気層を形成する外壁通気工法は今や多くの現場で取り入れられている。ただし下部は胴縁の厚みによる空気の流れを作っていても上端側の換気口が不十分だとこのような結露事故を招いてしまうのだ。こちらの住宅では上端にはバックアップ材が挟まれ、軒裏換気口は東面に1箇所しかなく通気経路が遠くて狭かったのが要因だと思われる。軒ゼロ住宅の大きな問題点である。




バルコニーの手摺り壁が白く変色・・・

バルコニーの手摺り壁のサイディングが白くなり汚れが目立つ・・・。バルコニーが設置された部屋では、クロスがめくれてきたため、雨漏りが原因ではと思われた。しかし外壁通気工法で仕上げたバルコニー手摺りだったが、上端部には換気孔が無く結露による劣化事故と判断。笠木部材を取り外し防水紙に穴を開けてみると、湿った熱気や木材が湿気た臭いが漂ってきた。通気層に溜まった結露がサイディングの裏面から浸透して表面に表れたのだ。

小屋裏に潜む夏場の結露・・・

国土交通省の住宅・建築物技術高度化事業の一環として建築された実験棟。そこで住まいの屋根換気壁通気研究会が実施した長期プロジェクトの中で、金属屋根葺きの三方パラペット住宅に通気層を大きく2つに区画し。一方は軒先と水上に換気部材を設置し、もう一方には換気部材を設置せず通気層を閉塞した。



その結果、写真の通り換気部材を設置した区画は竣工した当時のままきれいな状態だったが、閉塞した側の小屋裏は木部が濡れ黒ずんだ状態へと変化したのだ。驚くことに完成後2ヶ月目から、このような状態が確認された。 また、注目すべきは小屋裏の相対湿度を示したグラフである。



換気部材ありの区画は気温の変化に応じ上下しているが、換気部材無しの区画は日中の温度上昇でわずかに低下するものの、その他は100%に達している。夏場の7月上旬でこの記録であるのは非常に興味深い。




この実験棟は2016年4月に完成し、2ヵ月後の6月に初めて点検口を覗き込んで見た。その時点で既に結露水がたまり、合板に吸収され表面には茶色の染みができていた。研究会では、それは木材の成分であり腐朽菌ではないと確認したが、鉄製の釘はボロボロに錆び、このまま放置すると湿気や熱気により腐食が進行した可能性が高い。 今回の実験から、それまでの降水状況から雨水の浸入の可能性は低く、研究会では確認された結露は建築途中の降水が影響したのではと見ている。躯体に浸み込んでいた水分が徐々に蒸発したことで結露として表れたと考えている。

棟換気を設置することで効果は2倍に・・・

隣接するもう一方の実験棟では、小屋裏の換気部材の効率について検証を行った。今回比較するのは区画Cと区画Dだが、区画Cは軒天材に有孔板を取り付け棟換気も設置。区画Dでは一般的に使われる軒裏換気孔のみを設置した。その結果を見てみると、有孔板と棟換気の組み合わせは軒裏換気孔だけの場合と比較し換気量は2倍、換気回数で2.8倍の差が生じた。小屋裏に二酸化炭素を充満させ、流入する外気によって、濃度が低減する様子を観察した結果に基づいて算出したデータだ。研究会はこれらの結果を、日本建築学会へ論文を提出。換気部材が温度環境と耐久性に与える影響は決して少なくないと結論付けた。



工事中の「ぬれ」が原因・・・

大引きなど床の構造材が工事中の雨に濡れてしまったことにより、床にカビが発生するケースがある。それは床下だけにとどまらず床仕上げ材のフローリングにも染みが表れる。実験棟では工事の際、わざと1日雨に濡らした結果、4ヵ月後にフローリングにカビによる染みが生じたのだ。発生した箇所は、床の構造材と下地合板の継ぎ目が重なり、またフローリングの継ぎ目と交差しているという特徴がある。隙間に湿気が集まり湿度が上昇し、カビが成長したと見られる。

●実験住宅のフローリングに現れたカビによる染み。



フローリングの含水率はカビが発生していない箇所で20%。発生した箇所は60%前後に達していた。その他の要因として、水を通しにくいワックスで覆われたフローリング材や押し出し法ポリスチレンフォームの床断熱を採用。また完成後も窓は閉めっぱなしであったことが挙げられる。このような症状を起こさないようにするには、工事中に構造材を濡らさない。通気性が損なわれていないフローリングの使用が必要だと考えられる。

●含水率を測っている様子